償却資産とは
償却資産の概要
償却資産とは、法人や個人で工場や商店を経営している方や、駐車場・アパート等の不動産の貸し付けを行っている方などが、その事業のために用いているもの及び事業の用に供することのできる「構築物・機械・器具・備品等の有形固定資産」のことをいいます。減価償却額、または減価償却費が法人税法、または所得税法の規定による所得の計算上、損金または必要な経費に算入されるものです。
なお、ここでいう事業とは、営利目的等を問わず、一定の目的のために一定の行為を継続・反復して行うことをいうため、公益法人等の行う活動も該当します。
償却資産を所有している方は、地方税法383条の規定により毎年1月1日(賦課期日)現在の資産の所有状況を1月31日までに資産の所在する市町村長へ申告することになっています。
申告対象となる償却資産
- 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産
- 耐用年数1年以上、または取得価格10万円以上で個別に償却を行う資産
- 耐用年数1年未満、または取得価格10万円未満であっても、個別資産に計上している資産
- 償却資産の価値を増加させるための費用等
申告の対象となる主な償却資産
資産の種類 |
資産の名称 |
構築物 建物附属設備 |
駐車場の舗装、屋上看板等の広告設備、緑化施設、庭園、 門・堀、可動式間仕切、屋外の給排水・ガス設備、 受変電設備、自家発電設備、中央監視制御装置等 |
機械及び装置 |
印刷・製本機械、木工機械、クリーニング、駐車場機械装置等 |
船舶 |
ボート、漁船、遊覧船、タンカー、客船等 |
航空機 |
飛行機、ヘリコプター、グライダー等 |
車両及び運搬具 |
大型特殊自動車、フォークリフト等構内運搬車、貨車等 |
工具・器具 及び備品 |
事務机、事務椅子、応接セット、パソコン、陳列ケース、テレビ、 冷蔵庫、レジスター、自動販売機、工具等 |
申告対象とならない償却資産
- 鉱業権、漁業権、特許権、その他無形減価償却資産
- 自動車税の課税客体である自動車、及び軽自動車税の課税客体である軽自動車等
業種別の主な償却資産(具体例)
各業種共通のもの |
ロッカー、キャビネット、椅子、エアコン、ファクシミリ、テレビ、 応接セット、立看板、パソコン、コピー機、レジスター、金庫 等 |
小売店 |
商品陳列ケース、陳列棚、陳列台、自動販売機、冷蔵庫、冷凍庫 等 |
飲食業 |
窯、オーブン、スライサー、練機、ミキサー、厨房設備、包装機、 接客用家具・備品、厨房設備、放送設備、カラオケセット、 可動式間仕切り 等 |
理容業、美容業 |
理・美容椅子、洗面設備、タオル蒸し器、サインポール 等 |
医療、歯科医療 |
各種医療機器(ベット、手術台、心電計、保育器 等) |
不動産賃貸業 (貸家・駐車場事業) |
柵、照明等の電気設備、駐車装置、自転車置場、植樹、 アスファルト舗装、コンクリート舗装、フェンス 等 |
工場 |
プレス機、金型、構内舗装、溶接機、ミキサー、コンベア 等 |
クリーニング業 |
洗濯機、脱水機、プレス機、屋外給排水設備 等 |
旅館、ホテル、バー |
ステレオ、ボイラー、自動食器洗浄機、製氷機、楽器、放送設備 等 |
印刷業 |
印刷機、裁断機 等 |
建設業 |
ポンプ、ポータブル発電機、ブルドーザー、パワーショベル 等 |
自動車整備業、 ガソリン販売業 |
スチームクリーナー、オートリフト、テスター、充電器、洗車機、 ジャッキ、溶接機、ガソリン計量器、地下タンク、検査工具 等 |
木工業 |
木工スライス盤、カンナ機、研磨盤 等 |
鉄工業 |
ボール盤、スライス盤、研削盤、プレス機、剪断機、溶接機 等 |
農業 |
ビニールハウス、農耕用車両(軽自動車税対象のものを除く)、 乾燥機、籾すり機、田植機、稲刈機 等 |
漁業 |
漁船、魚群探知機、船外機、養殖用設備、GPS、漁具、漁網、いけす 等 |
建物附属設備・特定附帯設備の取扱いについて
自己所有家屋に取り付けた建物附属設備
【建物附属設備の家屋と償却資産の区分】
自己所有家屋に取り付けた建物附属設備は、固定資産税の取扱い上、次により家屋と償却資産とに区分して課税されます。
※「家屋と償却資産の区分表」をご参照ください。
家屋とするもの
家屋の所有者が所有し、家屋と構造上一体となって家屋の効用高める電気設備、ガス設備、給排水設備、衛生設備、消火設備、空調設備(ビルトイン)など
償却資産とするもの
上記「家屋とするもの」以外のもの
なお、家屋の附帯設備のうち、特定の生産用設備、または業務用設備、空調設備(エアコン)については、償却資産となります。
※特定の生産用設備、または業務用設備とは…
工場内で製造用機械を動かすための動力配線設備やガスバーナー用のガス配管、工業用水道配管や汚水配管、精密機械工場内の空調設備や集塵設備、
熱処理用のボイラー設備、ホテル・病院等における顧客の求めに応じる厨房設備や洗濯設備、大型コンピュータを冷却するための専用空調設備等をいいます。
賃借人等の方が取り付けた内装、造作、建築設備等の資産(特定附帯設備)
賃貸ビルなどを借り受けて事業をされている方(テナントの方)が自らの事業を営むために取り付けた電気設備、ガス設備、給排水設備、衛生設備等や
外壁、内壁、天井、床等の仕上げ、及び建具、配線・配管等のことを特定附帯設備といいます。
特定附帯設備は、地方税法第343条第9項、及び松島町町税条例第54条第7項の規定により、テナントの方で償却資産として申告してください。
◇家屋と償却資産の区分表(主な設備等の例)
設備等 の種類 |
設備等の分類 |
設備等の内容 |
家屋と設備等の 所有関係 |
|||
同じ場合 |
異なる 場合 |
|||||
家屋 |
償却 資産 |
家屋 |
償却 資産 |
|||
建築 工事 |
内装・造作等 |
床・壁・天井仕上、店舗造作等工事一式 |
○ |
|
|
◎ |
電気 設備 |
受変電設備 |
設備一式 |
|
◎ |
|
◎ |
予備電源設備 |
発電機設備、蓄電池設備、無停電電源設備等 |
|
◎ |
|
◎ |
|
中央監視設備 |
設備一式 |
|
◎ |
|
◎ |
|
電灯コンセント設備、 照明器具設備 |
屋外設備一式 |
|
◎ |
|
◎ |
|
屋内設備一式 |
○ |
|
|
◎ |
||
電力引込設備 |
引込工事 |
|
◎ |
|
◎ |
|
動力配線設備
|
特定の生産又は業務用設備 |
|
◎ |
|
◎ |
|
上記以外の設備 |
○ |
|
|
◎ |
||
電話設備
|
電話機、交換機などの機器 |
|
◎ |
|
◎ |
|
配管、配線、端子盤等 |
○ |
|
|
◎ |
||
LAN設備 |
設備一式 |
|
◎ |
|
◎ |
|
放送・拡声設備 |
マイク、スピーカー、アンプ等の機器 |
|
◎ |
|
◎ |
|
配管・配線等 |
○ |
|
|
◎ |
||
避雷設備 |
設備一式 |
○ |
|
|
◎ |
|
火災報知設備 |
設備一式 |
○ |
|
|
◎ |
|
給排水 衛生設備 |
給排水 設備 |
屋外設備、引込工事、特定の生産又は業務用設備 |
|
◎ |
|
◎ |
配管、高架水槽、受水槽、ポンプ等 |
○ |
|
|
◎ |
||
給湯設備 |
局所式給湯設備(電気温水器・湯沸器用) |
|
◎ |
|
◎ |
|
局所式給湯設備(ユニットバス用、床暖房用等)、 中央式給湯設備 |
○ |
|
|
◎ |
||
ガス設備 |
屋外設備、引込工事、特定の生産又は業務用設備 |
|
◎ |
|
◎ |
|
屋内の配管等 |
○ |
|
|
◎ |
||
衛生設備 |
設備一式(洗面器、大小便器) |
○ |
|
|
◎ |
|
消火設備 |
消火器、避難器具、ホース、及びノズル、 ガスボンベ等 |
|
◎ |
|
◎ |
|
消火栓設備、スプリンクラー設備等 |
○ |
|
|
◎ |
||
空調 設備 |
空調設備 |
ルームエアコン(壁掛型)、特定の生産又は業務用設備 |
|
◎ |
|
◎ |
上記以外の設備 |
○ |
|
|
◎ |
||
換気設備 |
特定の生産又は業務用設備 |
|
◎ |
|
◎ |
|
上記以外の設備 |
○ |
|
|
◎ |
||
その他の設備 |
運搬設備 |
工場用ベルトコンベア、垂直搬送機 |
|
◎ |
|
◎ |
エレベーター、エスカレーター、 小荷物専用昇降機(ダムウェーター)等 |
○ |
|
|
◎ |
||
厨房機器 |
顧客の求めに応じるサービス設備(飲食店・ ホテル・百貨店等)、寮・病院・社員食堂の厨房設備 |
|
◎ |
|
◎ |
|
上記以外の設備 |
○ |
|
|
◎ |
||
その他の設備 |
冷凍・冷蔵倉庫における冷却装置、ろ過装置、 POSシステム、広告塔、ネオンサイン、文字看板、 袖看板、簡易間仕切(衝立)、機械式駐車場設備、 ゴミ処理設備、メールボックス、 カーテン・ブラインド等 |
|
◎ |
|
◎ |
|
外構工事 |
外構工事 |
工事一式(門・塀・緑化施設等) |
|
◎ |
|
◎ |
法人税・所得税との比較
固定資産税(償却資産)と国税では取扱いが異なる点がありますので、御留意ください。
項目 |
固定資産税(償却資産の取扱) |
国税の取扱(法人税・所得税) |
減価償却の方法 |
一般の資産は定率法を適用 (固定資産評価基準に定められた減価率 を用います)※法人税等の旧定率法で用 いる減価率と同様 |
一般の資産は定率法・定額法選択 |
前年度の新規取得資産 |
半年償却(1/2) |
月割償却 |
圧縮記帳の制度 |
認められません (注1) |
認められます |
増加償却 |
認められます |
認められます |
償却額の最低限度 |
取得価格の100分の5 |
備忘価格(1円まで) |
改良費 (資本的支出) |
区分評価(改良を加えた 資産と改良費を区分して評価) |
区分評価(注2) |
少額の減価償却資産 (使用可能期間が1年未満、 または取得価格が10万円未 満の資産の資産) |
一時の損金、 または必要な経費に 算入したものは課税対象外(注3) |
一時の損金算入が可能、 または必要な経費に参入が可能 |
一括償却資産 (取得価格が20万円未満の 減価償却資産) |
3年間で損金、 または必要な経費に算入したものは 課税対象外(注3) |
3年間で損金、 または必要な経費に算入が可能 |
即時償却資産 (中小企業等の方が租税特別措置法 を適用して取得された10万円以上 30万円未満の減価償却資産) |
課税対象になります
|
取得価格に相当する金額を損金、 または必要な経費に算入が可能 |
(注1)圧縮記帳の制度は認められていませんので、国庫補助金等で取得した資産で取得価額の圧縮を行ったものについては、圧縮前の取得価額としてください。
(注2)平成19年度税制改正により、国税における改良費の取扱いは変わりましたが、固定資産税(償却資産)における取扱いは変更ありません。
(注3)本来の耐用年数を用いて毎年減価償却することもできますが、この場合は固定資産税(償却資産)の課税対象となりますので、
耐用年数省令に応じた耐用年数を記入のうえ申告してください。
(注4)令和4年4月1日以降に取得し、かつ、貸付け(主要な業務として行われる者を除く。)の用に供した資産は、取扱いが変更になりましたので、ご注意ください。
評価方法
償却資産の評価は、資産の取得時期、取得価格、及び耐用年数を基本に行います。
(1)前年中に取得したもの 取得価格×(1-減価率/2)=評価額
(2)前年前に取得したもの 前年の評価額×(1-減価率)=評価額
※評価額が(取得価格×5/100)よりも小さい場合は、(取得価格×5/100)で求めた額が評価額となります。また、波線部分を減価残存率といいます。
◇減価率表(一部抜粋) ※償却資産の評価はすべて定率法で行います。
耐用年数
|
減価率
|
減価残存率
|
|
前年中取得
1-減価率/2
|
前年前取得
1-減価率
|
||
2
|
0.684
|
0.658
|
0.316
|
3
|
0.536
|
0.732
|
0.464
|
4
|
0.438
|
0.781
|
0.562
|
5
|
0.369
|
0.816
|
0.631
|
6
|
0.319
|
0.841
|
0.681
|
7
|
0.280
|
0.860
|
0.720
|
8
|
0.250
|
0.875
|
0.750
|
9
|
0.226
|
0.887
|
0.774
|
10
|
0.206
|
0.897
|
0.794
|
11
|
0.189
|
0.906
|
0.811
|
12
|
0.175
|
0.913
|
0.825
|
13
|
0.162
|
0.919
|
0.838
|
14
|
0.152
|
0.924
|
0.848
|
15
|
0.142
|
0.929
|
0.858
|
16
|
0.134
|
0.933
|
0.866
|
17
|
0.127
|
0.936
|
0.873
|
18
|
0.120
|
0.940
|
0.880
|
19
|
0.114
|
0.943
|
0.886
|
20
|
0.109
|
0.945
|
0.891
|
課税標準
賦課期日(1月1日)現在の全資産の評価額の合計額が課税標準です。
ただし、課税標準の特例の規定が適用される場合は、その資産の評価額に特定率を乗じたものが課税標準となります。
免税点
課税標準の合計額が150万円未満の場合は課税されません。
ただし、償却資産の申告は必要となります。
課税標準の特例
地方税法第349条の3、及び本法附則第15条に規定する特定の固定資産には、課税標準の特例措置が設けられています。
特例措置の適用要件は、法改正に伴う経過措置等により大変複雑になっておりますので、よくご確認のうえ申告してください。申告の際は、償却資産申告書の備考欄、
及び種類別明細書の摘要欄に根拠規定等の記載をお願いします。
また、特例措置を受けるための提出書類として、固定資産税特例申告書のほか、「再生可能エネルギー事業者支援事業に係る補助を受けたことが確認できる書類」や「経済産業省が発行した再生可能エネルギー発電設備の認定通知書の写し」、その他参考となる資料(契約書、配置図の写し、カタログ等)を添えるようにしてください。
◆課税標準の特例対象となる償却資産(主なものを抜粋)
・内航船舶に係る固定資産税の課税標準の特例
(地方税法第349条の3第5項)
外航船舶及び準外航船舶以外の船舶(遊覧船、遊漁船等を除く。)に対して課する固定資産税の課税標準は、当該船舶の価格の2分の1の額となります。
・再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の課税標準の特例
(地方税法附則第15条第25項第1号)
取得時期 |
令和6年4月1日から令和8年3月31日 |
対象資産 |
・FIT・FIP認定外の太陽光発電設備(出力1,000kW未満) ※再生可能エネルギー事業者支援事業費に係る補助を受けて取得したもの ※ペロブスカイト太陽電池を使用した一定の設備、または、認定地域脱炭素か 促進事業計画に従って取得した一定の設備は適用対象 ・風力発電設備(出力20kW以上) ・地熱発電設備(出力1,000kW未満) ・バイオマス発電設備(出力10,000kW以上20,000kW未満) |
特例割合 |
課税標準額の3分の2 |
適用期間 |
新たに固定資産税が課せられることとなった年度から3年度分 |
(地方税法附則第15条第25項第2号)
取得時期 |
令和6年4月1日から令和8年3月31日 |
対象設備 |
・特定バイオマス発電設備 (木竹に由来するもの、農産物の収穫に伴って生じるバイオマスを電気に変換するもの) (出力10,000kW以上20,000kW未満) |
特例割合 |
課税標準額の7分の6 |
適用期間 |
新たに固定資産税が課せられることとなった年度から3年度分 |
(地方税法附則第15条第25項第3号)
取得時期 |
令和6年4月1日から令和8年3月31日 |
対象設備 |
・FIT・FIP認定外の特定太陽光発電設備(出力1,000kW以上のもの) ※再生可能エネルギー事業者支援事業費に係る補助を受けて取得したもの ※ペロブスカイト太陽電池を使用した一定の設備、または、認定地域脱炭素か 促進事業計画に従って取得した一定の設備は適用対象 ・特定風力発電設備(出力20kW未満のもの) ・水力を電気に変換する特定再生可能エネルギー発電設備(出力5,000kW以上) |
特例割合 |
課税標準額の4分の3 |
適用期間 |
新たに固定資産税が課せられることとなった年度から3年度分 |
(地方税法附則第15条第25項第4号)
取得時期 |
令和6年4月1日から令和8年3月31日 |
対象設備 |
・特定水力発電設備(出力5,000kW未満のもの) ・特定地熱発電設備(出力1,000kW以上のもの) ・特定バイオマス発電設備(出力10,000kW未満のもの) |
特例割合 |
課税標準額の2分の1 |
適用期間 |
新たに固定資産税が課せられることとなった年度から3年度分 |
各種様式